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森林 健悟
no journal, ,
粒子線によるがん治療は高い治療効果を持つことが知られている。その理由の一つはクラスターDNA損傷を作るからと考えられているが、クラスターDNA損傷の生成機構はわかっていない。クラスターDNA損傷は粒子線が水分子を電離し、そのとき生じた二次電子によって生じると考えられている。そこで、本研究では、二次電子の運動を正確に記述するために電離で生じた水分子イオンや水分子の分極の合成電場の効果を計算モデルに取り込み、二次電子の運動の計算を行った。(1)3MeV/uの炭素線、(2)200keVの陽子線、(3)1MeVの陽子線の粒子線を取り扱った。(1), (2), (3)の粒子線の軌道方向に対し、それぞれ、おおよそ0.3nm, 0.8nm, 3.2nmの間隔で水分子イオンが作られることがわかった。水の分極を考慮しない場合、同時に生じた電子は、それぞれ45%, 25%, 10%の確率でイオンの電場により軌道から直径2nm以内の距離に捕獲されることがわかった。さらに、水の分極のこの捕獲への効果は生成される水分子イオンの間隔が長いほど、すなわち、LETが小さくなるほど大きくなることがわかった。
的場 史朗; 守屋 宗祐*; 高橋 果林*; 石川 学*; 小泉 哲夫*; 城丸 春夫*
no journal, ,
マイクロチャンネルプレート(MCP)では粒子がチャンネル内に入射しないと電子増倍が起きないので、検出効率の上限はMCPの開口率によって制限される。そこで、開口部にテーパー加工を施して実効的に開口率を90%まで上げたテーパー型高感度MCPの製作に取り組み、その検出効率の測定を行った。高感度型MCPの検出効率は、測定したエネルギーの全領域(0.2-15keV)で通常のMCPの検出効率を上回っている。入射エネルギーが高い領域での検出効率は89%となり、これは実効的な開口率(90%)に迫る。このように、イオン検出において開口部におけるテーパー加工が有効であることが確かめられた。さらに、検出効率におけるイオンの質量依存性についても測定を行った。その結果、エネルギーを質量の二乗根で除算した値を用いることで、異なるイオン種においても検出効率を規格化できることを確認した。